
近年、多くの中小企業が「経理人材の採用が難しい」と頭を悩ませています。特に、コロナ禍を経て働き方や雇用の形が変化した中で、優秀な経理人材の獲得競争は激しさを増しています。
この記事では、経理の採用がなぜここまで困難なのか、その背景を丁寧にひも解きながら、経営者や経理担当者が今すぐ実践できる解決策をご紹介します。
この記事を読むと、以下のことがわかります。
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-経理人材の採用が難しい理由と背景
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-採用難によって中小企業が被る具体的なリスク
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-採用難を乗り越えるための実践的な対策と選択肢
「求人を出しても全然応募が来ない」「面接してもマッチする人がいない」——そんなお悩みをお持ちの中小企業経営者や経理責任者の方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
経理の採用が難しいとされる5つの理由
経理職の採用が難航するのは、単なる人手不足ではなく、複数の要因が絡み合っているからです。以下に、代表的な5つの理由を紹介します。
1. 経理人材の「数」がそもそも少ない
経理業務には専門性が求められます。特に日商簿記2級以上の資格や、決算・税務処理などの実務経験を持つ人材は限られており、母数自体が少ないのです。
加えて、経理の仕事は社内の全体像を把握できる重要なポジションであるため、長く同じ企業に勤める人が多く、転職市場に出てきづらいという特徴もあります。
2. 経理職はリモートワークに不向きとされがち
コロナ以降、労働者は「柔軟な働き方」を強く求めるようになりました。しかし、紙ベースの資料や専用ソフトに依存している中小企業の経理は、テレワークに対応しきれていないことが多く、応募者に敬遠されがちです。
実際、ある調査によると、経理職でテレワークが可能な環境を整えている企業は全体の2割に満たないとされています。
3. 求人票に「魅力」がない
「経理スタッフ募集、経験者優遇、月給〇万円〜」といった一般的な求人票では、他社と差別化できません。特に中小企業では、給与面で大手企業に劣ることが多いため、職場の魅力や成長支援制度など、待遇以外の訴求が重要です。
また、業務内容が不明確だったり、「繁忙期残業あり」といったネガティブな表現があると、それだけで応募を敬遠される可能性もあります。
4. 即戦力を求めすぎてしまう
「経験3年以上、月次・年次決算可能な方限定」といった求人は、即戦力を期待するあまりターゲットを狭めすぎてしまいがちです。経理経験者の多くは、すでに安定したポジションに就いているため、ハードルの高い条件では応募が集まりません。
長期的な人材育成を視野に入れた採用戦略が必要です。
5. 応募後の対応が遅く、機会を逃している
せっかく応募があっても、書類選考や面接日程の調整が遅いと、他社に流れてしまう可能性があります。特に経理職のような専門職は、複数企業を並行して応募するケースが多いため、スピード感のある対応が欠かせません。
経理人材が不足することで発生する3つのリスク
経理の採用が難航すると、企業運営にどのような影響があるのでしょうか。以下に代表的なリスクを挙げます。
1. 経理業務の属人化が進む
採用ができない状況が続くと、既存の担当者に業務が集中します。その結果、特定の社員にしか業務内容が分からない「属人化」が進み、退職や長期休暇が発生した際に業務が完全に止まってしまう恐れがあります。
2. 月次・年次決算の遅延
経理担当者の負担が増えると、帳簿処理や決算業務のスピードが落ち、税理士への資料提出が遅れるなどの二次的な遅延が発生します。金融機関や出資者への報告も滞り、信頼性の低下につながる可能性もあります。
3. 不正リスクの増加
チェック体制が整っていないまま1人に業務を集中させると、不正やミスの温床になります。金銭管理に不備が生じた場合、企業の信用失墜や損害賠償につながることもあるため、重大なリスクといえます。
中小企業が取るべき採用難対策5選
採用が難しいからといって、あきらめる必要はありません。以下に、中小企業でも実践可能な具体策を5つご紹介します。
1. 業務の一部をアウトソーシングする
すべての経理業務を社内でこなそうとするのではなく、記帳や給与計算など定型業務を外注することで、採用負担を軽減できます。特にクラウド会計に対応した事務所との連携で、コストを抑えつつ高い正確性を維持できます。
2. 未経験者を育成前提で採用する
経験者にこだわるよりも、ポテンシャルのある若手や異業種からの転職希望者を育てるという考え方に切り替えましょう。教育体制の構築には時間がかかりますが、長期的な人材確保に有効です。
3. 魅力的な求人票を作成する
業務内容や1日の流れを具体的に記載し、「柔軟な働き方」「育成支援制度」「残業ほぼなし」といった職場の魅力を視覚的に伝える求人票が効果的です。写真や社員の声を掲載するのもおすすめです。
4. 採用媒体を見直す
求人サイトやハローワークだけでなく、SNSや人材紹介会社、リファラル採用(社員紹介)の活用も有効です。特にリファラル採用は、企業文化を理解した人からの紹介であるため、ミスマッチが起きにくいというメリットがあります。
5. 採用だけでなく、定着率向上も重視する
せっかく採用しても、すぐに退職されては意味がありません。教育体制の整備、定期的な面談、評価制度の導入など、働きやすさとキャリアの見える化を実現することで、離職率を抑えることができます。
まとめ
経理の採用が難しいのは、単なる人手不足だけでなく、業界特有の構造的な課題や時代の変化が影響しています。中小企業だからこそ、柔軟で実践的な対策を講じる必要があります。
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-経理人材の数は少なく、応募者も限定的
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-属人化や決算遅延、不正リスクといった実務的な影響が大きい
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-採用の代替手段としてアウトソーシングや未経験育成が有効
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-求人の見せ方や採用チャネルの多様化も重要
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多摩・経理代行サービスでは、経理業務の一部アウトソーシングや、クラウドツール導入の支援、経理部門の人材育成に関するご相談も承っております。
「経理の採用が難しい」と感じている経営者様は、ぜひ一度多摩・八王子経理代行サービスお問い合わせください。
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