近年、経理業務の効率化が経営課題として注目されています。
特に中小企業では「人手不足」「ミスの多発」「属人化のリスク」など、経理業務にまつわる悩みを多く抱えているのが現状です。
このような悩みを解消する手段として、クラウド経理ツールの導入が急速に進んでいます。
この記事では、「クラウド経理ツールの仕訳処理がどのように変わるのか?」を中心に、仕訳業務の効率化ポイントやメリット・デメリット、中小企業に適した導入手順について詳しく解説します。
クラウド会計ソフトの選び方や活用事例にも触れていますので、
●経理担当者の作業時間を減らしたい
●仕訳ミスを減らし、月次決算の精度を上げたい
●ペーパーレス化を進めてテレワークにも対応したい
このような中小企業の経営者や経理担当者の方は、ぜひ最後までお読みください。
クラウド経理ツールとは?仕訳処理にどう関係するのか
クラウド経理ツールの基本機能
クラウド経理ツールとは、インターネット上で経理・会計業務を行うためのソフトウェアです。インストール型のソフトと異なり、クラウド上にデータを保存・処理できるため、どこからでもアクセス可能という特徴があります。
主な機能は以下のとおりです。
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①自動仕訳機能(銀行・クレジットカード連携)
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②電子帳簿保存への対応
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③見積・請求書の発行と管理
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④給与計算や経費精算との連携
クラウド経理ツールによる仕訳の自動化とは
クラウド経理ツールの大きな特徴が「自動仕訳機能」です。銀行口座やクレジットカードと連携することで、取引データを自動で取得し、仕訳候補を自動生成します。
たとえば、以下のような取引が自動仕訳されます。
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●法人口座の入出金 →「売掛金回収」「通信費」などに自動判定
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●クレジットカードの利用明細 →「旅費交通費」「接待交際費」などに変換
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●電子請求書 → 金額と日付を読み取って勘定科目を推定
これまで手作業で入力していた仕訳の手間が大幅に削減されることで、経理担当者の業務時間が月10時間以上削減された事例も報告されています。
中小企業がクラウド経理ツールを導入するメリット
メリット1:仕訳ミスの削減と月次決算の精度向上
クラウド経理ツールの自動仕訳では、AIによるパターン学習が進んでおり、過去の入力履歴をもとに精度が高まります。
これにより、「勘定科目の選択ミス」「仕訳忘れ」などが激減し、月次決算のスピードと正確性が向上します。
また、税理士とデータをクラウド共有することで、試算表の確認や修正依頼も即座に対応可能となり、経営判断の迅速化にもつながります。
メリット2:作業時間の大幅削減と業務効率化
経理業務の中でも仕訳作業の工数は非常に大きいです。クラウド会計ツール導入により、これらが自動化されることで、以下のような効果が得られます。
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✅入力時間の削減(CSVやAPI連携)
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✅二重入力や転記ミスの排除
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✅データ検索や出力のスピード向上
とくに経理担当者が1人しかいない中小企業においては、人的リソースの節約に直結します。
メリット3:テレワーク・在宅経理への対応が可能に
クラウド型であることから、インターネット環境があればどこからでもアクセス可能です。
そのため、在宅勤務中でも帳簿の確認や入力作業ができ、テレワークに最適な経理体制を構築することができます。
クラウド経理ツール導入のデメリットとその対策
デメリット1:初期設定や操作習得に時間がかかる
導入時には、口座連携や残高登録、会計期間の設定など初期設定が必要です。また、操作画面に慣れるまで戸惑うこともあります。
✅対策:サポートが充実しているツールを選ぶ
導入支援やチャットサポート、オンライン講習が整っている会計ツールを選ぶことで、この問題は軽減されます。導入初期は税理士やITベンダーの支援を受けるのも有効です。
デメリット2:すべての仕訳が完全自動化できるわけではない
例えば、仕訳の判断が複雑な「按分処理」や「未払費用の計上」などは手動対応が必要です。
✅対策:ルール化と例外処理の整備
ルールベースで自動仕訳の補助をしつつ、例外的な仕訳には手動処理の手順をマニュアル化することで、抜け漏れを防げます。
中小企業におすすめのクラウド経理ツールと選び方
クラウド会計ソフト比較表(2025年時点)
ツール名 |
特徴 | 初期費用 | サポート体制 |
弥生会計 オンライン |
中小企業向け機能が豊富、 法改正対応◎ |
無料プランあり | 電話・チャット対応 |
マネーフォワードクラウド会計 |
自動連携が優秀 経費精算との連携も可能 |
月額3,980円〜 | オンラインサポート |
freee会計 | 経理初心者にも使いやすいUI | 月額2,680円〜 | 操作ナビ・コミュニティあり |
※価格は執筆時点での公式サイト情報を基にした参考値です。
中小企業がクラウド経理ツールを導入するステップ
ステップ1:現状の経理業務フローを棚卸し
まずは自社の経理業務の流れを洗い出し、「どこに課題があるか」「自動化可能な範囲はどこか」を明確にします。
ステップ2:ツールを比較・選定
前述のクラウド会計ソフト比較を参考に、業種や規模に合ったソフトを選びましょう。試用期間や無料プランがあるツールから始めるのもおすすめです。
ステップ3:税理士・専門家のサポートを受けながら導入
税理士と連携すれば、初期設定や科目の割り当て、税務対応までスムーズに進められます。また、経理ツールとの連携実績がある事務所であれば、より安心です。
導入事例:クラウド経理ツールで月20時間の業務削減に成功したA社
東京都内で広告業を営むA社(従業員8名)は、freee会計を導入して3カ月で経理業務の業務時間を月20時間削減しました。
主な施策は以下のとおりです。
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①銀行口座・法人カードとの自動連携設定
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②毎月定型の仕訳ルールを作成
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③月末にクラウド上で税理士と仕訳チェックを実施
これまで「Excel+手書き帳簿」で処理していた経理業務が、クラウド一本に集約されたことで業務フローが大幅に改善しました。
まとめ
クラウド経理ツールを導入することで、中小企業の仕訳業務は大きく変革します。
とくに自動仕訳機能による業務効率化、ミス削減、経営判断の迅速化は、中小企業にとって大きなメリットです。
ただし、導入には初期設定や操作習得の手間もあるため、信頼できるツールの選定と専門家のサポート活用が成功のカギを握ります。
当事務所では、クラウド経理ツール導入支援サービスを提供しております。
貴社の業種や業務フローに最適な会計ソフト選定から初期設定、税務連携までワンストップでご対応いたします。
無料相談・オンラインサポートも実施しておりますので、どうぞお気軽にご相談ください。