労務とは?労政とは?似ているようで異なる業務範囲をわかりやすく説明

こんにちは。多摩・八王子経理代行サービスです。

日々の業務の中で「労務」と「労政」という言葉を目にすることはあっても、違いを明確に説明できる方は意外と少ないのではないでしょうか。両者は似ているように思えますが、実際には担当する範囲や役割に大きな違いがあります

本記事では、労務と労政の定義から、それぞれの役割業務範囲両者の違いを具体的に解説します。さらに、企業が労務管理を適切に行うメリットや、労政を理解しておく重要性についても触れます。この記事を読むことで、労務と労政の関係性が整理でき、自社の労務管理体制を見直すきっかけになるでしょう。

特に中小企業の経営者や人事・総務担当者の方にとっては、日常業務や組織運営に直結する内容ですので、ぜひ最後までご覧ください。


労務とは?基本的な定義と役割

労務とは、企業における「従業員の労働に関する管理業務」のことを指します。具体的には、次のような業務が労務の範囲に含まれます。

  • ①労働時間や残業時間の管理

  • ②給与計算や社会保険手続き

  • ③就業規則や雇用契約の整備

  • ④安全衛生管理や労働環境の整備

  • ⑤労働法規に基づくコンプライアンス対応

労務は、人事部門の中でも「従業員の働き方や待遇を管理する業務」と位置付けられます。例えば、36協定の締結有給休暇の管理健康診断の実施など、企業活動を法律に沿って進めるために欠かせない役割を果たしています。


労政とは?国や自治体による労働政策のこと

一方、労政とは「国や自治体が進める労働に関する政策や施策」のことを指します。労政の主な内容は次の通りです。

  • ①労働基準法や労働契約法などの法整備

  • ②最低賃金の決定や労働時間に関する規制

  • ③労働者保護や雇用安定のための制度設計

  • ④職業訓練や人材育成政策

  • ⑤労働組合や労使関係に関する調整

つまり、労政は「国や自治体の視点」であり、労務は「企業の視点」であると整理できます。例えば、厚生労働省が推進する「働き方改革」や「同一労働同一賃金」といった施策も、労政に含まれるものです。


労務と労政の違いを整理

両者の違いを表で整理すると、より分かりやすくなります。

項目 労務 労政
担当主体 企業、人事・総務部門 国や自治体
主な目的 従業員の労働環境を整備し、円滑な業務運営を実現する 働く人々全体の労働条件や雇用を守る
業務内容 労働時間管理、給与計算、社会保険、就業規則、安全衛生 労働法改正、最低賃金決定、雇用政策、労働組合支援
視点 ミクロ(自社の従業員に焦点) マクロ(社会全体の労働者に焦点)

このように、労務は「自社の従業員を守るための業務」であり、労政は「社会全体の労働者を守るための政策」と考えると理解しやすいでしょう。


労務管理を適切に行うメリット

企業が労務管理を適切に行うことには、大きなメリットがあります。

1:法令違反のリスク回避

労働時間や残業代の未払い、有給休暇の不適切な取り扱いは、労働基準監督署からの是正勧告や罰則につながります。正しい労務管理を行うことで、こうしたリスクを回避できます。

2:従業員満足度の向上

労働環境が整い、給与や福利厚生が適正に管理されることで、従業員の安心感が高まります。結果として、離職率の低下人材定着につながります

3:生産性の向上

過重労働の防止休暇取得の促進は、従業員の健康を守り、業務効率の改善に直結します。

4:企業の信用力向上

労務管理が整備されている企業は、取引先や金融機関からも信頼を得やすく、資金調達や人材採用の面で有利になります。


労政を理解しておく重要性

経営者や人事担当者が労政を理解しておくことも重要です。労政は法改正や政策として企業に直接影響を与えるため、常に最新の情報を把握する必要があります

例えば、2023年に施行された「月60時間超の残業に対する割増賃金率の引き上げ」は、多くの中小企業に影響しました。また、最低賃金の毎年の改定も労政によるものです。こうした動向を把握しておくことで、企業は労務管理をスムーズに行い、トラブルを未然に防げます。


中小企業における労務・労政対応のポイント

中小企業にとって、労務と労政の違いを正しく理解し、適切に対応することは経営上の大きな課題です。ポイントは以下の通りです。

  1. 最新の法改正情報を常にチェックする
    厚生労働省や都道府県労働局の情報を定期的に確認することが必要です。

  2. 労務管理体制を整備する
    勤怠管理システムや給与計算ソフトを導入し、ヒューマンエラーを減らすことが有効です。

  3. 専門家に相談する
    労務管理や労政対応は複雑で専門性が高いため、社会保険労務士や税理士に相談することでリスクを軽減できます。

私自身、過去に顧問先の中小企業で労務管理の不備から労働基準監督署の指摘を受けた事例を見たことがあります。その際、専門家のサポートを得ながら就業規則を整備し、労働時間管理をシステム化したことで、改善後は従業員の残業時間が月20%減少しました。このように、正しい労務対応は目に見える成果を生み出します。


まとめ

労務と労政は似ている言葉ですが、役割や範囲は明確に異なります

  • 労務は企業内で従業員の労働環境を整備する業務

  • 労政は国や自治体が社会全体の労働者を守るための政策

両者を理解することで、自社の労務管理を適切に行い、法改正にも柔軟に対応できるようになります

弊社では、中小企業の労務管理や法改正への対応をサポートしています。就業規則の整備や勤怠管理体制の改善などについてお困りの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

お問い合わせはこちら

貴社の経理・労務のお悩みを無料面談でお聞かせください
無料面談実施中!!無料相談の詳細はコチラ
受付時間 9:00〜18:00(平日)
無料 より詳しい情報が知りたい方はこちらから 資料請求