
こんにちは!多摩・八王子経理代行サービスです。
リモートワークや在宅勤務が一般化した今、「社員が自宅で仕事をする場合の通信費や電気代は、どのように経費精算すればいいのか?」と悩む経営者や経理担当者の方は多いのではないでしょうか。
在宅勤務では、インターネット回線・光熱費・携帯電話代など、業務と私生活が混在しやすい費用が発生します。これらの経費をどこまで会社負担にできるのか、税務上のルールを理解していないと、思わぬ税務リスクを抱えてしまうこともあります。
この記事では、リモートワーク時の通信費・電気代の経費処理ルールや按分(あんぶん)計算の考え方、税務調査で指摘されないための精算方法をわかりやすく解説します。
リモートワークを導入している中小企業の経営者・経理担当者の方は、ぜひ最後までお読みください。
リモートワークの経費精算とは?通信費・電気代はどこまで経費にできる?
リモートワークの経費精算とは、社員が自宅などで業務を行う際に発生した費用のうち、業務に必要な範囲を会社が負担することを指します。
具体的には、以下のような費用が対象となります。
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●自宅のインターネット通信費(Wi-Fiや固定回線など)
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●電気代(パソコン・照明など業務に関係する消費分)
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●携帯電話代(業務使用分)
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●消耗品費(プリンター用紙・インクなど)
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●在宅勤務環境の整備費(机・椅子・モニター等)
この中で特に注意が必要なのが「通信費」と「電気代」です。
これらは私生活と共用しているため、全額を経費にすることはできず、業務使用分を合理的に按分する必要があります。
通信費の経費精算方法|按分の基準と具体例
通信費は、リモートワークにおいて最も頻繁に発生する経費の一つです。
しかし、家庭用のインターネット回線を業務と兼用している場合、どの程度を経費として処理できるかが問題になります。
通信費の按分方法
通信費の按分には、主に次の2つの方法があります。
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①業務時間割合で按分する方法
例:1日8時間のうち6時間が勤務時間 → 通信費の75%を業務使用分とする -
①使用機器割合で按分する方法
例:Wi-Fiを家族4人で共有しており、自分は業務用で1人使用 → 25%を業務使用分とする
一般的には「勤務時間割合」で按分する方法が採用されるケースが多いです。
通信費の具体例
たとえば月額6,000円のインターネット回線を使用しており、
平日のうち1日6時間を業務に使用している場合、
6,000円 ×(6時間 ÷ 24時間 × 22営業日 ÷ 30日) ≒ 1,100円程度が経費相当額となります。
このように、業務実態に基づいて合理的に算出した金額であれば、税務上も問題になりにくいです。
電気代の経費精算方法|在宅勤務の使用割合をどう出す?
電気代も通信費と同じく、全額を経費にすることはできません。
リモートワークに使用した時間やスペースの割合をもとに、按分する必要があります。
電気代の按分方法
電気代の按分は、以下の式を使うとわかりやすいです。
電気代 ×(業務スペース ÷ 全体の部屋面積)×(勤務時間 ÷ 1日の総時間)
電気代の具体例
たとえば1人暮らしの社員が自宅(40㎡)のうち8㎡を作業スペースとして使用し、
1日8時間・月20日勤務した場合:
10,000円 ×(8㎡ ÷ 40㎡)×(8時間 ÷ 24時間)= 約667円
これが電気代の業務使用分として妥当な金額です。
毎月この金額を経費精算する、または「テレワーク手当」として定額支給する方法があります。
テレワーク手当という選択肢|定額支給で経理処理を簡略化
通信費や電気代を都度按分計算するのは手間がかかるため、
多くの企業では「テレワーク手当」として定額を支給しています。
テレワーク手当のメリット
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✅経理処理が簡単になる
毎月一定額を支給するだけで済むため、経理負担が軽減されます。 -
✅従業員の満足度が上がる
経費申請の手間を省けるため、モチベーション向上にもつながります。 -
✅税務上も柔軟に対応可能
業務実態に見合った金額であれば、給与ではなく「非課税の実費弁償」として処理できます。
テレワーク手当の注意点
一方で、手当の金額設定を誤ると「給与」とみなされ課税対象となる恐れがあります。
国税庁の見解では、「実費に相当する金額」であれば非課税とされています。
そのため、1か月あたり通信費・電気代等の実費見積り(おおむね3,000〜5,000円)の範囲内に収めるのが安全です。
領収書・証憑の管理方法|税務調査で指摘されないために
リモートワーク経費を精算する際には、領収書や明細書などの証憑書類をしっかり保管することが重要です。
特に税務調査では、「業務に使用した証拠」が重視されます。
管理すべき証憑の例
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①通信費の請求書・領収書
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②電気料金の明細
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③使用割合を記した社内申請書(按分計算書)
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④テレワーク日報・勤務時間の記録
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⑤テレワーク手当の支給規定(就業規則)
クラウド会計ソフトを導入している場合は、これらの書類を電子データで保存することで、
電子帳簿保存法にも対応でき、経理業務の効率化にもつながります。
実際の事例:小規模企業が導入したテレワーク経費精算の成功例
当事務所がサポートしたA社(社員12名)は、リモートワーク導入当初、通信費と電気代を社員ごとに按分して経費精算していました。
しかし、毎月の計算・申請業務に多くの時間を要していたため、
2023年から月額4,000円のテレワーク手当を一律支給する形に変更。
その結果、経理担当者の業務時間は月10時間削減され、
社員の満足度アンケートでも「煩雑な申請が減って助かる」という回答が8割を超えました。
税務調査でも、支給根拠や金額の妥当性が明確であったため、問題なく経費として認められました。
まとめ
リモートワークにおける通信費・電気代の経費精算は、
「業務使用分を合理的に按分」することが原則です。
ただし、毎月の手間を考えると、実費を基にしたテレワーク手当の定額支給が実務上は最も効率的です。
重要なのは、
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①業務使用分の算定根拠を明確にすること
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②領収書や申請書などの証憑を整備しておくこと
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③社内規定に基づいて統一的に処理すること
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の3点です。
当事務所では、テレワーク経費の精算ルール作成や就業規則の見直しなど、
税務面からのサポートを行っています。
リモートワーク経費の取り扱いにお困りの方は、ぜひお気軽にご相談ください。